大人も英語を論理的に学習できない

言語形成期

NCCと言う英語学校には次のような言語習得の説明があります。

アメリカの言語教育の権威T.アンダーソン博士によれば、大人と子供とでは言語習得の方法が180度異なるとされています。

言語教育学上、0~10歳時を「言語形成期」と呼び、「体験的に言語を習得する能力」を多く持ち合わせた時期とされています。一方、10歳時を過ぎると「体験的に言語を習得する能力」は失われていき、逆に「論理的に言語を習得する能力」が上回ります。

つまり、私達が日本語の会話を苦労せず自然に体得できたのは、0~10歳時の「言語形成期」という特殊な時期に日本で生まれ育ったからです。このことを知らず、英語・英会話においても同様に自然体得を重視し、単に海外体験や外国人と接する機会を多く持つことに依存した見様見真似の体験学習を偏重する人がいます。しかし、「言語形成期」を過ぎれば「体験的に言語を習得する能力」は失われており、これでは成果は望めません。

「言語形成期を過ぎた人」は「論理的に言語を習得する能力」を用い、英語を話すための理論を学ばなければならないのです。よって、NCCでは語学学習者の大多数を占める「言語形成期を過ぎた人」を対象に「理論演習」を重視しています。

英米人は「言語形成期」の間に「体験的に言語を習得する能力」を用いて自然にマスターするに至った人です。つまり、「言語形成期」を過ぎた生徒が歩むべき学習プロセスと全く逆のプロセスを経ており、日本語を母国語とする人が外国語として英語を学ぶ際に必要な理論を教授するには不向きと言えます。

反面、日本人講師は「言語形成期」を過ぎてから「論理的に言語を習得する能力」を用いた人であり、生徒と全く同条件でマスターし得た人です。つまり、生徒が歩むべき苦難の道を先に歩み、日本語を母国語とする人がどうすれば英語・英会話をマスターできるのか ― その方法を生徒の立場に立って熟知している人です。よって、「理論演習」には日本人講師が不可欠なのです。

理論演習

一方、英米人講師は後述の「実践演習」に適していると言えます。 英語を話す=「口頭英作文」日本人講師による「理論演習」の中核を為すのが、口頭で自ら英文を構成しながら話す練習、つまり、「口頭英作文」の練習です。

英作文が英語を話すための中核であるというのは意外かもしれませんが、そもそも、英語を話すためのメカニズムとは、話そうとする英文を頭の中で思い通りに作りながらそれを口から音声として発すること。よって、丸暗記ではなく、自由自在に英語を話すことを目指すのであれば、思い通りに英文を作るための英作文能力が必要なのです。

英作文が英語を話すための中核であるということは、つまり、書けない英文は話せないということです。例えば、とある英語の手紙を正しく書けない人は、その書けない英文をどう頑張ってみても話せる筈がない ― 考えてみれば当然のことです。よって、書けなければ話せない。

しかし、このことに誤解が多いのは、順序が母国語の日本語と逆だからです。私達は日本語を、幼児期にまず話せるようになり、次にその後の成長を待ってから書けるようになりました。しかし、前述のとおり、大人と子供とでは言語習得の方法が180度異なるため、「言語形成期を過ぎた人」が英語を学ぶ際は、まず書けるようにならなければ話せるようにならないのです。

では、書けるようになるために必要なものは。語彙力と文法力にほかなりません。

文法はいわば英文を作るためのルールなので、「言語形成期を過ぎた人」が学ぶ英会話は文法なくして成り立つものではありません。しかし、日本の中学・高校での文法教育は主に読むためのものであり、書くための文法が殆ど教えられていません。だから日本人に読める人は多いが書ける人は少ないのです。

言語形成期は存在しない

言語形成期はつぎのように定義されます。

その人の言語の一生の骨組みがほぼ決定的に決る時期をいう。学説により、また個人により多少異なるが、ほぼ3歳ないし5歳頃から 12歳ないし 15歳頃までの期間、すなわち物心のつく頃から思春期までの期間がそれにあたる。音韻体系・文法体系・日常の基礎的語彙は、この時期に住んでいるその土地のものを習得し確立するのが普通である。この期を過ぎると、とりわけ発音の習慣を変えることは困難になる。もちろんその後も単語の数はふえていくし、訓練により他の方言や外国語を覚えることも可能であるが、それらは生え抜きの言語に比べて常になんらかの欠陥を有するのがほとんどである。 

脳には上記のような言語形成期と言うのはありません。言語は常に変わっていますから、大人でも新しい表現をどんどん学習しています。言語の臨界期は存在しますが、臨界期以降に発生するのは学習のメカニズムの変化ではなく、音の判断能力の劣化です。音の判断能力が劣化するため、臨界期以降は発音がなかなか上達しません。臨界期以降は母語の干渉もあるために言語習得が難しくなるだけの事です。音の判断能力の劣化も、母語の干渉もフィードバックで矯正と修正する事でかなり克服できます。

脳の学習メカニズム

「言語形成期」が存在しませんから「体験的に言語を習得する能力」は失われる事はありません。言語は文法のようなルールが基盤でなく、体系的に説明できるものでもありません。言語は多くの事例が存在するだけです。 

また脳は一生成長する唯一の臓器です。つまり脳の学習のメカニズムは生まれてから死ぬまで変わりません。それはディープラーニングと呼ばれる、特徴を少しずつ学習する方法です。言語の場合はネイティブの音を真似、少しずつ特徴を学習します。

大人が子供よりは理論的に理解する事実はあります。しかしそれは物事の仕組み理解するのであって言語のように体系のないものを理論的に理解する事はできません。

言語の学習は論理の学習ではなく、音声言語の場合に脳で言えば主としては運動野の担当であり、運動野の学習はサッカーや野球は他のスポーツとまったく変わりはありません。高齢者の認知症のリハビリは反復練習とフィードバックで矯正するディープラーニングです。

実は脳の学習は運動野に関わらず全ての脳の学習メカニズムは同じ学習方法です。仮に一部の脳が損傷されてもディープラーニングで回復ができるのは、他の脳の脳細胞が替わって学習する事ができるからです。

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